江戸時代の森林施策が、世界的にみてもいかに優れていたか。文明崩壊より①

どーも、冨安です。

「文明崩壊」という本を読んだので、本書のなかで印象的だったことを紹介します。

文明崩壊 上: 滅亡と存続の命運を分けるもの (草思社文庫)

著者は先日、本ブログでも紹介した「銃・病原菌・鉄」と同じ、ジャレド・ダイアモンド先生です。

この人が書く本は「銃・病原菌・鉄」、「文明崩壊」。それぞれ上下を読んでますが、この人の本は大好きですね。

趣味がドンピシャといいますか。

文明崩壊の概要をAmazon紹介から。

盛者必衰の理は歴史が多くの事例によって証明するところである。
だがなぜ隆盛を極めた社会が、そのまま存続できずに崩壊し滅亡していくのか? 
北米のアナサジ、中米のマヤ、東ポリネシアのイースター島、ピトケアン島、
グリーンランドのノルウェー人入植地など、本書は多様な文明崩壊の実例を検証し、
そこに共通 するパターンを導き出していく。
前著『銃・病原菌・鉄』では、各大陸における文明発展を分析して環境的因子が多様性を生み出したことを導き出したが、本書では文明繁栄による環境負荷が崩壊の契機を生み出すという問題をクローズアップしている。ピュリッツァー賞受賞者による待望の書。もともと棚田で田んぼをやっていて、なぜ文化や歴史は残していく必要があるのか?

棚田で田んぼをやっていて、なんで歴史や文化は残していくのか?

みたいな疑問を考え始めたところから歴史にハマって、その延長でたどり着いた本でした。

なぜ文明の栄枯盛衰は起こるか?

この本の問いを一言でいうなら、文明の栄枯盛衰はなぜ起こるか?

というところだと思います。

強大な勢力を持った王国や帝国も、いつまでも栄え続けるわけではなく滅亡に至ってしまう国もたくさんあります。

中米マヤ文明、イースター島などの滅びゆく運命にあった文明。滅びることなく長きに渡り存続に成功している文明。それぞれ図太い事例紹介をしています。

現代のルワンダや中国も人口が急増したことにより、資源を巡った闘争や環境被害が出ています。

例えば文明崩壊のパターンとして、

繁栄による人口増加→エネルギーや食糧需要の拡大→森林伐採して農場の拡大→環境負荷の増大→資源の枯渇→同じ文明内での闘争→飢饉や戦争の発生→文明崩壊

こうした流れがあると紹介しています。

人口増加に対して、環境にうまく対応ができなかった結果崩壊につながっていく。

気候変動、外圧の存在、環境的な要因、社会の規模感により危機への対応法もことなり、文明崩壊するのに共通のパターンはあるのか?考察していきます。

そんな中で危機をうまく乗り切り、文明を存続させた事例として江戸時代の日本が登場します。

海外の著者が書いた本に江戸時代の日本が出てきたのでビックリしました!

江戸時代の森林施策など全く知らなかったのですが、この内容面白かったので紹介します。

江戸時代、日本は森林破壊による資源不足の危機にあった。

江戸時代の日本は、繁栄による人口増加のため森林破壊が進んでいました。

戦国時代の終わりによる平和、徳川幕府による強力な中央政府、食糧生産量の安定などにより人口は倍増して1720年の江戸は世界で最も人口が多い街だったそう。

この人口増加により木材需要が高まり、森林乱伐が進んでいきました。

建築物、燃料、鉄製造などの木材消費。さらに農地拡大のための森林伐採。

そして限られた森林資源を巡った争い、森林機能が失われて災害が多発するようになります。

1657年には明暦の大火が起こり、首都再建のための木材が必要に。

ここで徳川幕府が乱伐をさらに進めていけば日本の崩壊の危機にあったかもしれませんが、江戸幕府は持続可能な森林施策を実現します。

なんで日本の社会は崩壊しなかったか?

江戸幕府の森林施策の方向性は2つ。

①木材消費を減らすこと。

②木材を生産していくこと。

この両輪を徳川幕府トップダウンで行い、地方にまで木材消費の制限や生産が実行されていきます。

日本で育林する概念が生まれたのは国が統一されてから、としていて当時国がたくさんあったヨーロッパでは江戸幕府のような林業施策は成り立ちませんでした。

また農地拡大を防ぐために、輸入を増やす。アイヌ民族との交易を増やして、食糧を賄うという手法をとりました。

これはアイヌ民族にとって重要だったシカやサケなどの資源枯渇を招き、アイヌ民族の自給自足的な暮らしを破壊する結果となりました。

自国の資源を守るために、他国の資源を消費する。

今の日本がやっていることであるとジャレド・ダイアモンド先生は指摘します。

他国の資源を浪費することで、自国を守る。

今の日本が成り立っている現実なのだろうと思います。

なぜ江戸時代の文明は崩壊せずに、森林資源を回復することができたか?

気候や土壌に恵まれて、樹木再生スピードが早かったこと。

安定政権により長期的な施策を考える環境があったこと。

家畜への依存がそこまで多くなかったこと。

これらの理由をあげています。

マヤ、ハイチ、ルワンダなどの国では、歴史が浅く短期的な利益を追いかけて乱伐に走り、土地の荒廃につながりました。

海外の著者の本で初めて知った日本林業の歴史。

戦国時代から統一された江戸時代の日本。

繁栄による危機とその危機を乗り越えた江戸幕府。

江戸時代の森林資源の回復と育林文化があったからこそ、きっと明治時代の急速な近代化は成り立ったのだろうと思います。

また日本は気候と土壌に恵まれてるんだなとは、歴史の本を読んでいて常々思いますね。

一度乱伐をしてしまって、再生できずに滅んだ文明もたくさんあるようなので。

江戸幕府の優れた森林施策は、今の日本の景色にもつながってるのだと思います。

海外の著者の本を読んで知るとは思っていませんでした。

江戸時代の日本の森林事情。江戸時代の背景なども含めてかなり分かりやすくコンパクトにまとまってると思います。

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