現代お好み焼きの輪郭をつくった車輪時代の到来。お好み焼きの戦前史②

どーも、冨安です。

昨日に続いて「お好み焼きの戦前史」から印象に残った箇所の紹介です。

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お好み焼きの前身となる文字焼きは、江戸時代の子どもたちのお小遣い市場が生まれたことから始まりました。

水溶き小麦粉をうすく手のひらサイズで焼いたイメージ。30円前後くらいの駄菓子で、今でも薄っぺらい小麦粉焼き駄菓子なかったですかね。

文字焼きは大道芸人のようなイメージの屋台として流行り、だんだん型をつくってなにかをモチーフにした焼きものも生まれたそう。

たい焼きとかのイメージなんでしょうね。

江戸時代から明治時代と、文字焼きは時代の流れを受けながら、徐々に現在のお好み焼きへと姿を変えていきます。

「お好み焼きの戦前史」はお好み焼きのことだけでなく、お好み焼きが生まれるために必要だった前提となる社会条件もしっかり触れていて分厚い考察を繰り広げています。

現代お好み焼きの前提となった車輪時代の到来。

明治時代に日本ではじめて、車輪の時代が到来したそうです。

江戸時代には車輪は普及してなかったそうです。

これはお好み焼き周辺の技術の話ですが、こうした時代背景も本書には結構書かれています。

・明治時代は、日本史上初めて訪れた、本格的な車輪の時代の始まりであった。  中国大陸や欧州の文明と比較すると、日本は車輪文化があまり発展しない社会であった。「くるま」の比較史(加藤友康 『アジアの中の日本史6 文化と技術』所収)によると、車輪普及の妨げになったのは、日本に多く流れる川とそれにかかる橋だったという。

・日本の場合、石の加工文化が発達しなかったからか、江戸時代までほとんどの橋は木で造られていた。さらに、木製の橋は丸く反った形をしていたため、車で渡るのに適していなかった。

・車輪時代を迎えるにあたっては、その通行に耐えられるよう、木製の橋を石やコンクリートや鉄製のそれに交換する必要があった。

・日本全土を車輪向けに改造するためには、莫大な予算と時間を必要とする。それは国家的な事業であり、国家が意思を持って進めることでしか実現しない。  そして、この「車輪社会への意思」を日本史上初めて持ったのは、明治政府であったのだ。    子供相手の屋台商売も、車輪社会の恩恵を受けることができた。それは、文字焼がお好み焼きに看板を書き換える際の、前提条件であったといってもよい。

お好み焼きの戦前史より

中山間地域が多い日本では、交通網の改善が必要だった。

この公共事業をできたのが、国家権力や予算を持っていた明治政府だったんでしょうね。テクノロジーの進化もあったのだろうと思います。

交通網の発展が車輪文化を発展させ、江戸時代の担ぎ屋台が、明治時代には車輪がついた引き屋台へと姿を変えていくのです。

江戸時代の文字焼きから、少しずつお好み焼きは現代の姿へと輪郭を変えていく。

その車輪文化の変遷は、文字焼きの業態も変えていきました。お好み焼きをやるためには分厚い鉄板、多くの具材を持ち運ぶため車輪つきの引き屋台である必要がありました。

・いうまでもなく、お好み焼きには分厚い鉄板が欠かせない。高い蓄熱性で、材料を投入しても温度が低下せず、次々とお好み焼きを作ることができる。そして何より、油との相性が良い。

・鉄の熱伝導率の低さからくるムラも、焼板を分厚くすることで対処できる。ただし、重量は重くなる。  文字焼の材料は、水に溶いた小麦粉と、砂糖を水に溶いて熱した蜜だけのシンプルなものであった。明治期には、これに餡が加わる。  一方、お好み焼きの材料は、メニュー数が増えるにつれ際限なく増殖していった。

お好み焼きの戦前史より

一方で車輪つき屋台により、文字焼きが失ったものもあったという。

・さて、担ぎ屋台が車輪付きの引き屋台に変わったことで、失ったものもあった。  それは、車輪の軸より上に七輪、さらにその上に鉄板をのせるために、鉄板の位置が子どもの目線より上になってしまった、ということだ。

・車輪付きのお好み焼きの屋台は、作る人と食べる人を、完全に分離してしまったのだ。

・江戸時代の文字焼商売の収入源は、大きく分けて2種類あった。  一つは、職人が作った文字焼を売ること。  もう一つは、子どもに水溶き小麦粉と蜜を売って、自分で焼かせること。

・しかし、明治時代になると、後者の収入源は、商売がたきにより奪われてしまった。駄菓子屋が文字焼をはじめたので、顧客である子供たちがそちらにいってしまったのだ。

お好み焼きの戦前史より

車輪に対応した社会インフラが発展したこと。

駄菓子屋の参入による、文字焼きが変化せざるをえなくなったこと。

こうした江戸時代から明治時代にかけての社会情勢の変化、テクノロジーの進化により少しずつお好み焼きは現代の姿へと輪郭を変えていきます。

現代のお好み焼きができるまでのストーリーは果てしなく壮大です。

この本、書き上げた著者の執念すごいなと思うのですがボリューム半端ないです。

お好み焼きだけでここまで書けるなんて…!

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