感想と要約⑤:感染症と文明−共生への道

どーも、冨安です。

「感染症と文明−共生への道」という本を読んだので紹介します。

コロナウィルスが流行り始めてからウィルスや病原菌関係の本を色々と読んでいまして、歴史を切り口にした本も好きで読んでいます。

感染症との闘いは人類に勝利をもたらすのか。防疫による封じ込めは、大きな悲劇の準備にすぎないのか。共生の道はあるのか。感染症と人類の関係を文明の発祥にさかのぼって考察し、社会が作り上げてきた流行の諸相を描き出す。共生とは理想的な均衡ではなく、心地よいとはいえない妥協の産物ではないのだろうか。

Amazon紹介文より

文明が感染症を生み出す、という考察をしていて、そのあたり「銃・病原菌・鉄」にかぶる内容も結構ありましたね。

移動と定住。定住社会は感染症が流行る土壌をつくる。

狩猟採集の時代の感染症事情から本書は入ります。

感染症はあったそうですがその種類は寄生虫感染症、炭疽症、ボツリヌス症など限定的だったと考えられているそうです。

移動を前提として暮らすため、極端な人口増は起こらず病原菌が広がる要素が生まれないそうです。

農耕の開始、定住、野生動物の家畜化。

この3つが人類と感染症のターニングポイントであったと。

人類と感染症のたたかいは、農耕とともに生まれたのだと思います。

農耕による定住は、糞便の集積による寄生虫の増加、余剰食糧によるネズミなど小動物の増加。感染症の温床が生みだします。

また家畜のはじまりにより野生動物を宿主としてた病原体が、人を宿主として拡散するようになります。

狩猟採集から農耕社会に移り渡ったことが、昨今のコロナウィルスによる世界中の非常事態にもつながっているのだと思います。

感染症は歴史的にみても、国家の栄枯盛衰や人口動態に大きな影響を与えています。全然知りませんでしたが、感染症って歴史を変えるような影響をポイントポイントで起こしてますよね。

ペストはどう起こったか?交通の発達と人口増加は、感染症の流行をつくる。

歴史のなかで人類史に残る感染症としてペストを例として紹介していました。

ペスト菌はクマネズミを宿主とする病原体で、このネズミの生息域によって感染が生まれます。

もともとは中国を起源とするペストは、ユーラシア大陸をつなぐシルクロードが発達して交易が盛んになることによってヨーロッパまで運ばれました。

モンゴル帝国が最盛期のころ、ユーラシア大陸で交通網の発達と人口増加が起こり、それが中世ヨーロッパのペスト大流行につながった可能性があると。

ペストは黒死病と呼ばれ中世ヨーロッパを飲み込むように広がり、時代を変えるほどの影響が起こりました。

大きくは3つの変化をあげています。

①人口減少による労働力不足と農奴制の衰退

②教会の権威衰退

③身分制度の解体と新しい価値観への転換

面白いですね。人口減少したことで、これまで身分が低かった人たちの労働力の価値がぐっと上がり経済的に豊かになったみたいです。

イタリアでルネッサンスと呼ばれる、新しい文化振興が生まれました。キリスト教の一神教的な考え方から、古代ギリシャの多神教へみたいな流れも。

中世ヨーロッパのペスト流行は、現代のコロナ流行とよく似ている。

この中世ヨーロッパのペスト流行の話を読んでいて、現在のコロナウィルスにめちゃくちゃ似ているなと思いました。

交通網の発達と人口増加。

中世はユーラシア大陸の交通網の変化であり、現代では人口増とかつてないほどの大量高速輸送の時代。

交通網の発達と人口増が感染症の流行をつくる。

という点。

現代のコロナウィルスによる世界規模でのパンデミックは、流行るべくして流行ってるんだなと本書を読んでいて思います。

さらに中世ヨーロッパではペストにより社会構造に変化が起こり、権力を失った人たちもいれば、経済的に豊かになれた人たちも現れました。社会の価値観に大きな変化が起こり、芸術文化でも新しい芽が生まれました。

コロナウィルスでもまだまだ流行の初期だと思いますが、経済や僕たちの暮らしに大きな影響を与えています。

人が集まる場所に価値があったのに、人が集まる場所に価値がなくなってしまいました。人が動いてこそお金が回る世の中だったのが、人はなるべく動かずモノを動かすみたいな流れにもなっていますよね。

これだけの変化を目の当たりにできるのは、ある意味すごい時代に生きれてるなとか思います。

中世ヨーロッパでペスト流行で社会が大きく変わったのと同じレベルの変化が、現代のコロナウィルス流行で起こっても不思議ではないように思います。

「急性感染症をもたない文明の周辺に位置する人々は、感染症をもたないことで享受する健康と人口増加圧力で、文明の中心部を担う。しかしそうした周辺部の人々が、文明の中心部の人々と接触すると、文明が保有する感染症によって、人口動態に変化を及ぼすほどの影響を受ける。周辺部の集団が、新たな文明の担い手となるには、そうした文明が保有する生物学的障害を乗り越える必要がある。

感染症と文明−共生への道より

コロナウィルスを乗り越えた国から、新しい覇権が生まれてきそうですね。

ウィルスや感染症とどんな共生の道があるか?

一体ウィルスや感染症と人類は、共生の道を探すことが大事だと著者はいいます。

ウィルスや病原菌は根絶することはできない、1つのウィルスを根絶しても新しいウィルスが出てくる。

津波を完全にシャットダウンしようとして高い堤防を築く対策が難しいように、ウィルスを完全に防御するのも不可能なことのように思います。

人がなんとか生存しようとするように、ウィルスや病原菌たちも同じように進歩するんでしょうね。

僕もそのうちウィルスで倒れるのだろうと思いながら、倒れるまでは生きます。

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