どーも、冨安です。
「知っておきたい感染症−21世紀型パンデミックに備える」
この本を読んだので紹介します。
昨今のコロナウィルス拡大までウィルスや病原菌について考えることはそんななかったのですが、人類はこれまでの歴史のなかでもずっと病原菌とたたかって今に至るのだと知りました。
ウィルスや感染症に関する本も色々と読んでいまして、Kindleでセールをやっていたのもあり本書を読んでみました。
2016年に書かれてる本であり感染症への警鐘をしていますが、今コロナウィルスで起きている事態や新型ウィルスの怖さはすべてこの本に書かれていました。
エボラ出血熱、2つのタイプの鳥インフルエンザ、SARS、MERS、デング熱…。高速大量輸送、人口爆発の21世紀において、さまざまな感染症がパンデミック(感染爆発)の危険性をはらんでいる。それぞれのウイルスにはどんな特徴があるのか?近年の流行はどのように起こったのか?そして、これからどんな危機がありえ、それを未然に防ぐために私たちは何をするべきなのか?このままでは、人類総倒れ。生き延びるために知っておくべき、必須の知識を授ける。
Amazonの紹介文より
では内容簡単にお伝えします。
ウィルスはどこから生まれ、どう広がり、社会にどんな影響を与えるか?
本書ではエボラ出血熱、鳥インフルエンザのSARS・MERS、デング熱などのウィルスによる病気を取り上げて、いつどこでどうやって広がっていったのか?
どんな影響を社会に与えたのか?
どんな解決策がとられたのか?
解説されています。
例えばエボラ出血熱について。
・エボラ出血熱は、エボラウイルスの感染によって起こる。エボラウイルスは、マールブルク病のマールブルクウイルスとともにフィロウイルス科に分類される。
・エボラウイルスでは、ウイルスに感染したサル等の野生動物の死体や生肉に人が直接触れたことで感染を受け、人の社会にエボラウイルスが侵入した可能性が指摘されている。 これまでの調査研究の結果、エボラ出血熱は人間のほかにも、チンパンジーやゴリラなどの霊長類、アンテロープ(ウシ科の哺乳類、レイヨウ) に感染する。
・そもそも、エボラ出血熱とはどのような病気なのか。エボラ出血熱では、インフルエンザ様の初期症状に続いて、嘔吐、下痢等の消化器症状が現れ、さらに重篤化すると、吐血、口腔歯肉からの出血、消化管などからの出血が起こる。しかし、実際に出血の症状が見られるのは全患者の 70%で、重篤化した場合に限られる。
・また、アフリカに伝わる葬儀の伝統が、不幸にして感染を拡げる結果にもなった。アフリカの一部地域では、亡くなった親族との別れの儀式として、遺体を清めたり、触れたりする慣習があり、これにより患者の体内に大量に残るウイルスに感染してしまうリスクは高い。
このようなウィルスの解説がそれぞれされています。
コロナウィルスについても記載があり、パンデミックが社会に何をもたらすのか。こんな記載がありました。
多くの人が同時に感染・発症し、入院を要する重症患者が急増するので、医療サービスは破綻し、悪循環に陥る。その結果、死亡者も増えて、膨大な健康被害が生じる。 一方、全ての職種で病欠者が激増するので、社会機能・経済活動の維持・継続も困難となり、重大な二次被害が発生する。現代は、社会機能の細分化と相互依存が進んでいるために、その影響は拡がりやすい。ドミノ倒しのようにさまざまな社会機能、特に、医療、流通、交通、エネルギー供給、食糧供給などのライフラインが麻痺し、市民生活が滞り、さらに破綻に至る。
まさに今これから起こることなのだろうと思います。
印象的なのがウィルスは、ウィルス単体ではなく時代背景に合わせて暗躍の仕方が変わるということ。
著者は本書の副題は「21世紀型パンデミックに備える」。現在僕たちがいきる世界は、コロナウィルスによりまさに21世紀型パンデミックの渦中にあります。
では21世紀型パンデミックとはなんなのでしょうか?
21世紀型のパンデミックってなに?
現代は人口が爆発的に増えていて、人やモノが高速大量輸送されます。
・人口の増加
・高速大量輸送
この2つの要素が21世紀型パンデミックを生み出すと。
これまでは村の風土病で終わっていた感染症が、世界中に広がるようになった。人やモノの移動が盛んになることで、同じくウィルスも活発になるんですね。
21 世紀は、医療体制が充実し、衛生環境が行き届いている先進諸国であっても、ウイルスの危険と無縁ではいられない。むしろ、人口の過密化、高速大量輸送を背景とし、不特定多数の人々が集っては離散する都市の特性が、感染症に対するリスクを高めている。美しく、豪華である都会の施設が、実はさまざまな病原体で高度に汚染された、または汚染されやすい感染のリスクの高い場所でもあるのだ。さらに、その感染の原因の病原体は、思いも寄らない遠隔地から航空機で運ばれ、または高速鉄道でやってきた、新たな感染症であるかもしれない。そして、いったん発生してしまった感染症は、密集した人々の中で感染伝播を効率良く繰り返し、さらにそれが拡散して、同時多発的な大流行を引き起こす。これが、 21 世紀型パンデミックにつながる。
世界の人口増加とウィルスの脅威は比例するんだなと思いました。
ウィルスは野生動物から人に伝染するパターンが多いみたいなんですが、人口増により未開の地を切り開き、農地を増やす必要性が出てきます。
そうすると開拓をするために野生動物と接触する機会が増える。
人の交流が活発な状況下では、人口増加による開拓であり動物との接触も新ウィルス拡散のリスクになると。
人とモノが大量高速に行き交うことで、未知のウィルスが世界中に運ばれパンデミックを起こす。
コロナ前の世界を前提とするなら、今のコロナウィルスによるような事態は何度も起こるのだろうと思いました。
高度に分業がすすんだ社会がもたらす、ウィルスの2次災害。
本書ではウィルスはその社会背景によって化け方が変わるといいます。
昨今のような高度に分業が進んだ社会では、便利ではあるがウィルスによる2次災害のリスクも高いと。
さらに現代は、社会機能が細分化され、自給自足体制が崩壊して、相互依存した社会となっている。このような現代の日本の生活環境で、H5N1型強毒型新型インフルエンザが流行した場合、もし適切な事前準備と緊急対応がとられなかったならば、健康被害が集中的に激増することに加えて、二次的に社会機能の維持が困難となり、さらに被害が大きくなることが想定される。
都市への人口集中と高度な分業システム。
社会の中枢を担ってきた仕組みの在り方が、コロナウィルスにより問われているように思います。
人口増と大量高速輸送の社会において、いつパンデミックが起きてもおかしくないとしたら、もはやこれまでとは別の社会を目指すしかない気がします。
ウィルスは地球の免疫機能のよう。
ウィルスは人口調節の役割をしてきたという記載がありました。
今世紀半ばには、地球人口が 90 億人を突破するという予測の中で、人類という一つの種族だけが突出して増え続けている状況は、人間社会での感染症の大流行を予想させる。歴史を振り返れば、感染症の流行が人口調節の役割を担ってきたことは、歴史人口学の教えるところである。農業効率が向上し、食料が増産されるのと連動して人口が増えていく。しかし、人の生活様式が変化し、社会活動が活発になると、その影響を受けて感染症が流行して、人口増加に抑制がかかる。そのような現象が繰り返されてきた。
現在のコロナウィルスで経済活動が停滞することにより、インドや中国では空気がキレイになったというニュースをみます。
経済活動が停滞することは人には都合が悪いことですが、地球には優しいようですね。
ウィルスは地球の免疫機能のように見えまして、人間の活動が行き過ぎるとウィルスによって調整がかけられる。
昨今のコロナウィルスによる情勢はコロナウィルスが悪役になるところですが、人口増や大量高速輸送など行き過ぎた社会への地球からの警鐘のように感じます。
僕もすでにウィルスにかかって明日死んでるみたいなことが起こってもおかしくありません。
個人でどうこうできる問題でもないので、日々淡々とやることをやっていくしかないと思う次第です。
というわけで「知っておきたい感染症−21世紀型パンデミックに備える」の感想と要約でした。
ウィルスそのものについて、そしてそれに社会がどう対応し何が起こったか?
コロナウィルスが広がる昨今、今まさに起こっていることが2016年の段階で書かれてるので読み応えがあると思います。