どーも、冨安です。
ここ半年くらい歴史にハマっていまして歴史関連の書籍を色々と読んでいました。
今の社会がどうやって成り立っているのか?
どんな経緯で成り立っているのか?
知っていって、世界の見え方が広がっていく感覚が楽しいんですよね。
色々と読んだなかでかなり面白かった書籍がこちら。
Amazonの紹介文から
一粒の小麦から文明が生まれ、茶の魔力がアヘン戦争を起こした――。人類は植物を栽培することによって農耕をはじめ、その技術は文明を生みだした。作物の栽培は、食糧と富を生み出し、やがては国を生み出した。人々は富を奪い合って争い合い、戦争の引き金にもなった。歴史は、人々の営みによって紡がれてきたが、その営みに植物は欠くことができない。人類の歴史の影には、常に植物の存在があったのだ(本書の「はじめに」より)。 【本書の目次より】コムギ――一粒の種から文明が生まれた/イネ――稲作文化が「日本」を作った/コショウ――ヨーロッパが羨望した黒い黄金/ジャガイモ――大国アメリカを作った悪魔の植物/ワタ――「羊が生えた植物」と産業革命/チャ――アヘン戦争とカフェインの魔力/ダイズ――戦国時代の軍事食から新大陸へ/チューリップ――世界初のバブル経済と球根/サクラ――ヤマザクラと日本人の精神……
ジャレド・ダイアモンド先生の「銃・病原菌・鉄」という書籍にかぶる内容も多かったですね。
狩猟採集から農耕へと時代が変わり生まれたことはなにか?
それが食べ物の余剰です。
食べ物の余剰が生まれたこと。
そこから富の蓄積ができるようになり、食べる以外のことを生業にするスペシャリストが生まれる。
昨今は職業が細分化されすごい分業と分配で成り立っている社会ですが、これは農耕が始まり食糧の余剰が生まれたことにより可能になった。
食べ物の余剰は持つ人、持たない人を生み出し貧富や権力を生み出す。
その文明の礎になっているのが植物。今の社会は植物によって作られてるといっていいなと本書を読んでいて思いました。
人類が生きるために欠かせない植物。
僕たちは日々植物や植物を食べて育つ家畜を食べて生きています。
お米やパンなどの主食も植物です。
植物がどんなふうに人類の歴史に影響しているか?
植物の特徴も解説したうえで、歴史を変えた植物がどこで生まれ、どんなふうに広がり、どう歴史を変えてきたか?
面白いエピソードを交えながら解説してくれてます。
結構いろんな歴史関係の本を読んだんですが、この本はエピソード面白いし読みやすいと思います。
個人的に印象に残ってる植物はイネとジャガイモでしたねー!
イネがいかに今の日本をつくっているか?
色んな植物のエピソードのなかでも、最も印象に残ってるのが日本に馴染み深いイネ。
日本が先進国と言われるポジションを取ることができたのは、イネという植物が中国から伝来して、イネを中心とした農耕が早期に発展したからだと思います。
紀元前五世紀のことである。気候は寒冷化し、北方に住んでいた黄河文明の人々は、農業に適した暖かな地域を目指して南進してきた。そして、北方の黄河文明の人々と、もともと南方に住んでいた長江文明の人々は、より良い場所を求めて移住するようになり、限られた土地を巡って争うようになるのである。 これが中国の春秋戦国時代から呉越の戦いへとつながっていくのである。 この争いに敗れた越の国の人々は、山岳地帯へと落ち延びた。そして、険しい山の中にて棚田を 拓いたのである。一方、海を渡った難民たちは日本列島に漂着した。当時の日本はすでにイネは伝わっていたと考えられているが、越の人々が伝えた稲作技術は、日本に稲作が広がる要因の一つになったと考えられている。
世界史を大きく変えた植物より
春秋戦国時代の中国の流れがあって、日本に稲作文化が広がったんでしょうか?
こうした流れ面白いですねー!
日本に伝来した一粒のお米から日本の稲作が始まり、昨今の田園風景につながる。
地方で広がる癒やされる田園風景。
日本らしいといわれる風景。
こうした田園風景は、先人の水をいかにコントロールするか?というたたかいだった。
田んぼを作るには、山から流れる川の水を引き込んで、田んぼの隅々にまで行き渡らせることが必要である。こうして、大きな川から小さな川を引き、小さな川から田んぼに水を行き渡らせて、田んぼに水をためることによって、山に降った雨は一気に海に流れ込むことなく、地面を潤しながらゆっくりと流れるようになったのだ。 途方もない労力と時間を掛けて、人々は川の 氾濫原 を田んぼに変えていった。日本の国土にとって、田んぼを作る歴史は、激しい水の流れをコントロールすることに他ならなかったのである。
世界史を大きく変えた植物より
棚田で田んぼをやっていて、田んぼにいかに水を行き渡らせるか?水路の維持管理が大事なのは実感しています。
日本の田園風景の裏にあるのは、先人の長きにわたる水とのたたかいの歴史なんだなと思いました。
イネはもともと東南アジア産の作物であり、イネを栽培する地域は多い。しかし、温暖な地域は食べ物も多く、イネはたくさんある食べ物の一つに過ぎない。これに対して、日本はイネの栽培の北限地域である。日本人にとってイネは優れた作物であり、重要な食糧であった。日本人が古くから他の食べ物よりも「コメ」を大切にし、稲作中心文化を築いてきたのはそのためである。
世界史を大きく変えた植物より
農業が必要なのは自然環境が厳しい地域だそうです。
放っておいても食糧が手に入る地域では農業は発展しない。
日本の自然環境や気候が稲作文化を育んだのだと思います。
日本人にとってのイネの存在感。
つらい過去を乗り越えて今があるジャガイモ。
そして面白かったのがジャガイモ。
今でこそ日本でも当たり前のように食卓に上がりますが、めちゃくちゃ紆余曲折があったことを知りました。
大航海時代にアメリカ大陸から世界に広がったジャガイモ。
ヨーロッパ伝来当初は、全くもって受け入れられなかったそう。
・今でもドイツ料理に代表されるように、ヨーロッパではジャガイモは欠かせない食材となっている。 しかし、見たことも聞いたこともないアメリカ大陸の作物が、簡単にヨーロッパの人々に受け入れられたわけではなかった。
・ジャガイモはそのゴツゴツとした醜い姿から、食べるとハンセン病になるというデマが流布されていた。 さらに、ジャガイモは「聖書に書かれていない植物」であった。聖書では、神は種子で増える植物を創ったとされている。ところが、ジャガイモは種子ではなく芋で増える。ヨーロッパの人々にとって、芋で増えるジャガイモは奇異な植物だったのだろう。西洋では、聖書に書かれていない植物は悪魔のものである。
・中世ヨーロッパは、魔女裁判などが盛んに行われた時代でもある。 そして、ついには悪魔の植物であるジャガイモも裁判に掛けられてしまうのである。世の中の生物は雌雄によって子孫を残す。しかし、ジャガイモは種芋だけで繁殖する。これが性的に不純とされて、ジャガイモは有罪判決となってしまうのである。その刑罰は、驚くなかれ「火あぶりの刑」である。
世界史を大きく変えた植物より
確かにいわれてみれば、ジャガイモは形は醜いかもしれない。
そして種芋だけで繁殖するのも不思議。
その後イギリスでは国王がジャガイモパーティーを開催するなどして、普及に努めた。
ジャガイモを普及させようとしたのは、イギリスのエリザベス一世である。 エリザベス一世は、まず上流階級の間にジャガイモを広めようと、ジャガイモ・パーティを主催する。ところが、ジャガイモを知らないシェフたちが、ジャガイモの葉や茎を使って料理を作ったため、エリザベス一世はソラニン中毒になってしまった。 こうしてイギリスでは、ジャガイモは有毒な植物というイメージが強まり、ジャガイモの普及が遅れてしまう。
世界史を大きく変えた植物より
切ない。
僕たちがいま日本で当たり前のようにジャガイモを食べれる背景には、先人たちの大きな苦労が存在していた。
こうした苦労をへて痩せた土地でも収穫でき、寒さにも強いジャガイモはヨーロッパで広がっていきます。
今度ジャガイモを食べるときは、中世ヨーロッパでのジャガイモたちの苦労を思い出しながら食べてみてはいかがでしょうか。
魔女裁判にかけられて火炙りの刑までうけてますからね。
このように「世界史を大きく動かした植物」ではイネやジャガイモ以外にも日常的に馴染みある植物たちの歴史に触れられています。
僕はイネとジャガイモの話が好きでしたね。
人類は植物を支配しているのか?植物に支配されているのか?
本書を読んでいて僕たちは植物なしでは生きれない暮らしをしているのだと思いました。
人類は植物を支配しているように見えるかもしれませんが果たしてどうなんでしょうか?
もし、地球外から来た生命体が、地球のようすを観察したとしたら、どう思うだろう。地球の支配者は作物であると思わないだろうか。そして、人類のことを、支配者たる作物の世話をさせられている気の毒な奴隷であると、母星に報告するのではないだろうか。
世界史を大きく変えた植物より
1万2000年前から昨今にいたる社会は、農耕文明とともに育まれた文明だと思います。
植物をいかに支配するか?
という歴史だったのかもしれません。
栽培する植物が育ちやすいように土地を耕して、肥料を与えて、薬をまいて。
植物からみたら農業により、人が勝手に働いてくれて繁殖を手助けしてくれるわけだからこんなに素晴らしいことはないかもしれませんね。
果たして人類は植物を支配しているのでしょうか?
植物に支配されているのでしょうか?
はたまた植物といいバランスで共存しているのでしょうか?