どーも、冨安です。
今回は最近読んだ本「傭兵の2千年史」の紹介です。
なぜこの本を読んだか?
僕は岡山県美作市上山という棚田のあるエリアで田んぼをやっています。
山の斜面を切り開いて田んぼにしているわけですが、平地に比べると大変なことがたくさんあります。農業ではなく棚田という文化や歴史を紡いでいくためにやっていると思っています。
草刈りや草取りなど一人でもくもくと作業をする時間も多いので、その時間ってめちゃくちゃ自問自答するんですよね。
「なぜお金になるわけでもない棚田で田んぼをやっているんだろうか?」
と笑
お金になるなどわかりやすい理由や役に立つわけでもなくやってるから、考えるんだと思います。
そしてその問いへの答えの1つが「文化や歴史を残していく、伝えていくため」。
としてじゃあ今度は「なんで歴史や文化って残していく、伝えていく必要があるんだろうか?」
みたいなことを考えはじめまして、終わりのない問答の世界に入りました笑。
そんな経緯で歴史に興味を持つようになり歴史にハマっています。
世界史の中でも偶然以前読んでいたマンガがこちら。
中世のスイス建国史を描くマンガ。スイスは金融や観光、時計などで今は有名ですが、中世では「血の輸出」という傭兵の輸出を主な産業としていました。
このマンガはスイス前身の州とハプスブルク家の戦いを描いていて、スイスの傭兵産業ができるまでの歴史を知ることができます。歴史を知ると「スイスってこういう経緯で時計が有名なんだ」とかしれて面白いんですが、傭兵に興味を持ちまして
この本を読んだ次第でした。
傭兵ってなに?
傭兵はお金で雇われて戦う兵士です。
日本にいたら考えられなくないですか?
例えば日本を守るために、韓国人を雇って戦ってもらう。大事な国を守る戦いをお金で雇った人に任せる。
他国のために命をかける人がいる。
一方で祖国のために第2次世界大戦の日本のように命をかける人もいる。
この祖国をアンダーソンは「想像の共同体」と言う。つまり、ヒトはいつしか、まったく顔も見たこともない、口もきいたこともない何千何百万の無数の人々と一つの共同体を幻視するようになってきた。こうしてかつての地域愛郷主義をはるかに超える巨大な共同体への愛着が、すなわちナショナリズムがこうして・・・
国家ってなに?
ということを愛国心とは真逆の傭兵から考察している書籍でした。
スイスの傭兵産業とドイツのランツクネヒト
傭兵は古代から戦争において長く主役だったそう。
戦争は彼ら傭兵たちが主役であった。というよりか傭兵は古代オリエント以来、市民軍、封建正規軍、徴兵軍と並ぶ最も基本的な軍制の一つであった。つまり古来、戦争とは忠誠、祖国愛といった観念とは対極に位置していた傭兵たちによって担われていたのである。
つまり売春と傭兵はともに、やがて古代ギリシャ、ローマ、キリスト教文化と発展していくヨーロッパ文明の 礎 を築いた古代オリエントの時代に既に自分の生身を切り売りして銭を手にする哀しい職業として存在していた
傭兵は国が常備軍を持てるほどの経済的余力がなく、農地や職を失う人にあふれ、生きるために傭兵になるしかない人たちにより多くは担われていたそう。
逆に国が膨張して人口増加するタイミングでも、仕事がそれだけ追いつかずに食いあぶれる人が発生して傭兵が増えるパターンもあったそう。
かくして戦争が多かった中世などでとくに、お金を払えば柔軟に戦ってくれる傭兵の需要はめちゃくちゃ高かった。
傭兵のなかで「血の輸出」のスイス、ドイツのランツクネヒトなどが有名です。
山間で産業がなかったスイスは国が管理をして、傭兵の輸出を行っていました。自国に産業がないから出稼ぎにでる。
地方に仕事ないから東京いくみたいな感じですかね。
一方でドイツのランツクネヒトは企業運営。当時は戦争が最大の産業だからお金がない人、兵士がいない国をつなぐ人たちは儲かったんでしょうね。
国が力のない時代は傭兵に頼りますが、国が権力を持ってくると傭兵の居場所はだんだんなくなっていきます。
特に国家という概念が確立する機会になったのがフランス革命で、国民軍が強さを発揮して国民意識みたいなものが生まれたのもこの頃がタイミングだったよう。
戦争の戦い方も変わり傭兵が活躍する時代は終わりますが、現代でも戦争があるところには傭兵産業は存在しています。
現代の派遣と傭兵
傭兵は戦争産業のはなしですが、めちゃくちゃ現在の社会に当てはまる事が多いなと思って読んでいました。
例えば以前よりも力がなくなってきた国や企業は、正規雇用を減らして非正規雇用が増えていて安定した身分の人は減っています。
必要なときに必要な人に働いてもらう派遣も、産業は違えど傭兵に近いです。ノマドワーカーやフリーランスも傭兵的な生き方。
時代の流れとして安定した中間層が減っていて、格差が広がっていて不安定な人が増えている。
中性ヨーローッパなどで傭兵がたくさん発生するタイミングと同じ話で、日本は弱ってきてるんだな−と本書を読みながら思いました。
全く違う時代のことを現代に当てはめて考えてみる作業めっちゃ楽しいです(^^)
傭兵の世界を知れるオススメのマンガ3つ!
僕も現在傭兵的な生き方をしてるので傭兵や傭兵の話が好きです。
また傭兵的な生き方をしてる人はたくさんいると思うので、傭兵について知ることは学びも多いと思います。
というわけで傭兵が登場するオススメのマンガを3冊紹介します!
①ホークウッド
14世紀イギリスとフランスの100年戦争を描くマンガ。主人公のホークウッドが主人公で、傭兵からみた100年戦争を追体験できます。
もろに傭兵が主人公なので傭兵に興味があったら絶対おもしろい。
②狼の口 ヴォルフスムント
14世紀初頭の建国前のスイスが舞台。ウーリ、シュヴァイツ、ウンターヴァルデンの森林同盟三邦とハプスブルク家の争い。
のちに活躍するスイス傭兵の前身のストーリーが描かれています。いかんせん人が死にまくる重い内容ですが、一気に読み進めました。
③イサック
17世紀の神聖ローマ帝国の30年戦争が舞台。日本の傭兵イサックが主人公。
この頃日本では戦国時代が終わり、海外に出る日本傭兵は実際に結構いたらしいです。
日本の傭兵がヨーロッパの戦いで主人公になるという設定が熱いですよね。最高です!
傭兵という立場から世界を知れるおもしろい1冊でした。古代から1800年代フランス革命くらいまでのヨーロッパの傭兵史が書かれていて、結構まるまるヨーロッパ史です。
歴史は面白い(^^)